今回ご紹介するのは、本多静六さんが書かれた、『私の財産告白』という本です。
本書では、本多静六さん流の「お金のため方」、「増やし方」、「使い方」が紹介されています。
本多静六さんは、「公園の父」と呼ばれていて、日比谷公園をはじめとした数多くの日本の公園の設計・改良に携わっています。
苦学して東大教授になり、倹約で貯めたお金を元手に、投資で巨万の富を築き上げた方です。
現代にして、100億円相当の資産を持っていたそうです。
いかにして、貧乏生活から資産家にたどり着いたのか?
正直僕たちがマネするには難しい、「強い意志」が必要になる部分もあります。
しかし、根本的な考え方は大いに参考になるはず。
もくじ
まずは「雪だるまの芯」をつくろう
投資をするにもまずは元本が必要です。
本多静六さんは、投資の元手のことを「雪だるまの芯」と呼んでいます。
雪を固めてボールを作って、雪の坂道を転がすと、どんどん大きくなっていきますよね。
そのイメージです。
お金を増やそうと思ったら、まずは貯金することです。
本多静六さんは極貧から資産家になるファーストステップで、どんな貯金法をしていたのでしょうか。
「四分の一天引き貯金法」
本多静六さんは、給料の1/4を強制的に貯金に回していました。
これを「四分の一天引き貯金法」と呼びます。
もしあなたの給料が20万円だとすると、5万円は貯金に回さないといけませんね。
『バビロン大富豪の教え』では、「給料の1/10を貯金せよ」という教えでしたらから、本多さんはスパルタですね。笑
しかも、本多静六さんの場合、貧乏な暮らしに加えて家族を養いながら「四分の一天引き貯金法」を実践していました。
子供がお腹すいて泣いていると、ごま塩を舐めさせていたそうです。
なんというか、意志の強さがすごいですよね。笑
給料の1/4は元から無かったものとして、残りの3/4で生活をやりくりしていたそうです。
という人は、1/10貯金から始めてみてもよいと思います。
副業
本多静六さんは、副業として1日に原稿用紙1枚分の文章執筆を毎日続けていました。
結果として、生涯に300冊を超える本を出しています。
仕事の道楽化
本多静六さんは、決して無理をして働いてお金を増やしたわけではありません。
仕事を道楽化していました。
みたいな人いますよね。
あんな感じです。
仕事や副業が趣味になると、支出が抑えられるし、収入は増えます。
楽しんで仕事ができる工夫をすること。
楽しいと思える仕事を見つけること。
いかに仕事を楽しくできるかが大切ということですね。
貧乏を自ら経験しにいく
本多静六さんは、「貧乏な時期は必要だ」と主張しています。
それも、早いうちに貧乏を経験した方がいいと。
貧乏であれば、いかにお金を増やそうかという工夫をするようになりますし、倹約の習慣が身につくからです。
さきほど紹介した「四分の一天引き貯金法」は、貧乏状態を作り出すという意味でも有効な手段といえますね。
本多式投資法
何事にも「時節を待つ」ということだ。
焦らず、怠らず、時の来るを待つということだ。
本多静六さんは倹約と副業で「雪だるまの芯」をつくり、それを株式に投資してお金を増やすことに成功しました。
そんな本多静六式、「投資の流儀」とはどんなものだったのでしょうか。
二割利食い、十割益半分手放し
本多静六式投資の鉄則が、「二割利食い、十割益半分手放し」です。
1つずつ解説していきます。
二割利食い
先物(信用取引)では、期限前に2割利益が出たところで、欲を出さずにきっぱり売る。
十割益半分手放し
長期保有を決めて現物保有している銘柄が、2倍に値上がりしたら、半分を売る。
こうして元本を確保した状態で、残りの半分を運用し続けて上値をねらう。
堅実なやり方ですよね。
長期的に見ると、確実に利益を出し続けられそうな方法です。
好景気には勤倹貯蓄、不景気には思い切った投資をせよ
景気は長い目で見ると、好景気と不景気を繰り返します。
なので、不景気の時こそ株を買い込んで、好景気になってグッと上がってきたところで大きな利益を上げる。
投資戦に勝利したいなら、いかなるときも静かに景気の循環を洞察しましょう。
お金の使い方
否かえって、経済的な自立が強固になるにつれて、勤務のほうにもますます励みがつき、学問と教育の職業を道楽化して、いよいよ面白く、人一倍に働いたものである。
本多静六さんは、お金持ちになっても、贅沢はしませんでした。
では、なんのためにお金を使っていたのでしょうか。
最小限の財産を残し、匿名で全額寄付
本多静六さんは、なんと定年退職を機会に、必要最小限度の財産を残してすべて寄附しました。
寄付の提供先は、学校などの交易の関係財団です。
そして、世間の誤解と名誉的褒章を避けるために、匿名または他人名を用いて寄附しました。
「成功者の社会的責務は、人に成功させること。」
と語っており、自らの財産を若者の教育ための使ったという、なんともかっこいい身の処し方です。
また、資産家になってからは、「四分の一奉仕」をルールとしていたようです。
つまり、給料の1/4は他人の成功のために使っていたということですね。
相当な財産分与はかえって子孫を不幸にする
つまりは、子孫への財産分与をしていないということです。
なぜ本多静六さんは、子孫にお金を渡さなかったのでしょうか?
それは、以下のような考え方があったからです。
幸福を親から譲ることはできない。
幸福は自分自身の努力で勝ち得るもの。
貧乏な方が、努力体質に育ちます。
その努力そのものが幸福につながるから、あえて子孫にはお金を残さなかったんですね。
どこまでも芯が通っております。
お金が倍になっても幸福は倍にならない
本多静六さんは、「お金を増やせば増やすほど幸福になるわけではない」ということを、感覚で理解されていました。
『私の財産告白』の「2杯の天丼はうまく食えぬ」という見出しの中の文章で、こんな風に書かれています。
人生の幸福というものは、現在の生活自体より、むしろ、その生活の動きの方向が、上り坂か、下り坂か、上向きつつあるか、下向きつつあるかによって決定せられるものである。
お金持ちに生まれた人は、坂の頂上にいる。
それより上に行くのは難しく、転げ落ちそうになる心配が絶えません。
対して、坂の途中にいる人は、少しの努力で上に登っていくことができます。
つまり、坂の途中にいる人の方が、努力次第で幸福感を得られる機会は多いということです。
「人生即努力、努力即幸福」
本多静六さんは当初、「老後は隠居する」という人生計画を持っていました。
ですが、途中で人生観が変わり、「人生即努力、努力即幸福」というシンプルなものになりました。
「働いて稼ぐこと」、「倹約すること」をずっと続けるだけで、幸せになれるという自覚があったんですね。
貸すな借りるな
これはよく言われることですが、「借金するのも、人に金を貸すのもいけない」ということです。
本多静六さん曰く、「貸した金は生きた働きをしない」。
一度金を借りる人は、二度三度と借りにきます。
そういう性懲りもない人っていますよね。
と頼まれても、キッパリ断る。
金に困っている人にはあえて厳しくすることで、「自分が頑張るしかない」と悟ります。
本書には、「厳しくした結果、のちのち成功する人も多い」と書かれています。
おわりに:貯金も投資も堅実に
短期でババっと稼いだお金は、えてして泡のようにすぐ消えてしまうものです。
焦らず、堅実にお金を増やしていきくことが大事だと本書では説かれています。
この記事で紹介した内容以外にも、新1万円札の図柄となる「渋沢栄一さん」とのカラミも面白くて必見です。